* この投稿は、米国時間 7 月 14 日、Google Cloud Platform Global Head of Solutions and Solutions Architect の Miles Ward と Evan Brown による投稿の抄訳です。

前回の投稿でお知らせしたように(そちらもぜひご覧ください)、Google は Google Cloud Platform を、Windows 上での業務を実行する最良の環境として正式に提供開始しました。Windows Server 2003 のサポート終了を気にされているお客様によれば、各種の移行への関心がとても高いことがうかがえます。そこで今回は、この移行に関する参考情報とアイデアをお届けします。少しでもお役に立てば、またいくつか大いに活用していただける内容があればうれしく思います。

Microsoft は、Windows Server 2003 から移行するための 4 ステップのアプローチをウェブ ページで紹介しています。最初の 2 つのステップでは、どのアプリケーションを移行する必要があるかがわかるツールと推奨事項が提供されています。どのアプリケーションを移行すべきかがわかれば、Google Compute Engine を利用して、続く 2 つのステップである「目標設定」「移行」をスピードアップでき、これらのコストを抑えることができます。

Google Cloud Platform は、Windows Server 2003 からの移行を迅速かつ低コストで行えるように支援します。移行のために機器を購入して必要な環境を用意しなければならない場合には、特に威力を発揮します。Google は、Windows Server on Google Compute Engine がベータ段階だったころから、Windows Server 2008 R2 や 2012 R2 を運用してきたお客様の声に応えながら、深いノウハウを蓄積してきました。Windows Server 2003 からの移行でも、このノウハウが皆さんのお役に立つと考えています。


すぐに使うことができ、料金は分単位

Windows Server on Google Compute Engine は起動が高速です。Developers Console からWindows Server 2012 R2 インスタンスを起動して、7 分未満で簡単にデスクトップを用意できます。このインスタンスは 5 回程度のクリックで行えます。
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Windows Server on Google Compute Engine は分単位の従量課金制です。インスタンスの実行時間が 10 分に達するまでは、10 分間の使用料金をお支払いいただきます。10 分を超えると、分単位の課金になります。


アプリケーションのテスト

お客様は、世界各地に展開された Google のデータセンター上で、迅速かつ分単位の料金で Windows Server にアクセスでき、アプリケーションを適切なテストスイートで実行できます。こうすることで、お客様が選択した新しいバージョンの Windows Server でアプリケーションが動作するかどうかを確認できます。

アプリケーションが複数のコンポーネントから構成される場合、すべてが連携して動作することを確認するために、統合テストを実行することもあるでしょう。もしこれらのコンポーネントの一部(Active Directory など)がお客様のデータセンターで動作する場合、VPN を使えば、Compute Engine とオンプレミスネットワークを安全に接続できます。VPN は時間単位で課金されますから、テストが完了したら VPN を削除して余分な支払いをしないようにしましょう。

アプリケーションが新しいバージョンの Windows Server 上で、負荷がかかった状態でどのようなパフォーマンスを発揮するかのテストをしたい場合、アプリケーションに負荷をかけて動作を評価するための、分散負荷テスト ソリューションのガイダンスとリファレンス実装が公開されています。
お客様は、独自の負荷テスト フレームワークを Compute Engineプリエンプティブル インスタンスを使って行うことで、コストを抑えることができます。いずれにしても負荷の生成が終了したら、テスト インフラを停止し余分な料金を発生させないようにしましょう。

ユーザー受け入れテストも Windows on Google Compute Engine で簡単にすることができます。各テスターごとにサーバをプロビジョニングし、テストを同時並行で実施できます。テスト中は各インスタンスへの RDP アクセスを許可でき、Chrome Remote Desktop を使えば、テスターによるサーバへのアクセスが容易になります。


データの移動と保存

テストを行っているか、移行を進めているかにかかわらず、Compute Engine 上にある Windows サーバがアクセスする必要があるデータがあるはずです。これについては前述のように、VPN を使えば Compute Engine のインスタンスが既存の SAN にアクセスできるようにすることができます。Google Cloud SDKDevelopers Console を使って、データを Google Cloud Storage にコピーすることもできます。データが Cloud Storage に格納されたら、Compute Engine 上の Windows サーバは、広帯域かつ低遅延の通信を利用してそれらのデータにアクセスできます。さらにインスタンスを使えば、新しい仮想マシン(VM)に接続して利用できる永続ディスクを作成し、スナップショットを取得することができます。


移行

Compute Engine 上で、サポート対象バージョンの Windows でアプリケーションが動作することをテストし、確認したとします。では今度は? 新しいサーバをスケールアップし、すべてのデータを移行し、新しい環境で実運用に入りたくなるかもしれません。しかし、テストに何か漏れがあった場合にはロールバックできる漸進的なアプローチも検討すべきでしょう。Compute Engine 上のアップグレード版とオンプレミスの従来版を一定期間、並行して運用してみれば、テストで見過ごされた問題がないかを調べることができます。従来版にロールバックする必要がある場合は、Compute Engine インフラを停止すればよく、再び試す準備ができたら、また立ち上げればよいのです。


クラウドの本格導入の契機

アプリケーションのプラットフォームを変えるだけでなく、その運用方法も変えられるとしたら、どうしますか? Windows Server 2003 からの移行を機に、クラウドを本格的に導入しているお客様もいます。たとえば、従来のデータ ウェアハウスを移行する代わりに、BigQuery に置き換えるという手があります。ここは考えどころです。これを限りに、パッチを扱ったり、再起動を管理したり、ウェアハウスの OS をアップデートしたりすることから解放されるのですから。

信頼性の高いキュー/メッセージング サーバを運用するのは大変ですが、Google Cloud Pub/Sub なら、グローバルな高パフォーマンス サービスにアクセスでき、料金は使った分だけ支払えばよいのです。IIS を使ってウェブ サイトで静的なコンテンツを提供しているなら、Google Cloud Storage を使えば、物事が劇的に簡単になり、コストも大幅に安くなります。

これらをはじめ、Google Cloud Platform で提供させていただいているサービスについては、お客様から TCO が格段に低いと評価されています。もし 2003 年 ごろのソフトウェアをまだお使いなら、今日どのようなソフトウェアが利用できるのかをよく調べるのが得策でしょう。

これらの技術は、すべて今手に入れることができます。長期の契約は不要で、使った分だけの料金でかまいません。初めて Google Cloud Platform を利用するのであれば、300 ドル分のクレジットで 60 日間無料で容易に試すことができます。皆さんがアプリケーションを Windows Server 2003 から 2012 R2 に移行しようとしている場合も、移行の一環として、クラウドに最適化されたアーキテクチャを構築しようとしている場合も、Google Cloud Platform 上の Windows 環境なら容易にアクセスでき、その結果移行が簡単かつスムーズに行えることを期待しています。


- Posted by Miles Ward and Evan Brown, Global Head of Solutions and Solutions Architect, Google Cloud Platform