Google Cloud Platform Japan Blog
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国際自動車株式会社の導入事例:何千ものタクシーと乗客を、スマホを振るだけでマッチング。リアルタイム性が求められるビッグデータ処理を Cloud Spanner で一挙可能に
2018年3月15日木曜日
多数のタクシーの位置情報といった大量データを蓄積し高速に処理するために、エンタープライズクラスの新たなリレーショナル データベースサービス、Cloud Spanner が採用されました。このデータベースの大きな特長である圧倒的なパフォーマンスを活かした新サービス「フルクル」の開発事例をご紹介します。
■写真左から
国際自動車株式会社
管理部 IT課 係長 澤井 慎也氏(写真左)
企画・広報室 係長 森田 健太郎氏(写真右)
■ 利用している Google Cloud Platform サービス
Google App Engine
、
Cloud Spanner
、
Google Maps APIs
など
■
国際自動車株式会社
国際自動車株式会社を筆頭とする km グループは、タクシー / ハイヤー / バスといった複数車種の提供や、リース / 自動車保険 / 自動車整備など自動車運行にかかわる幅広いサービスを提供する旅客運用事業の総合企業です。IT を活用しグループ関連会社の先頭を走ります。
これまでの配車アプリとはまったく違う発想の「フルクル」
大都市では多くのタクシーが運行しています。しかし、大通りから外れた場所や住宅街ではなかなか見つからないこともあります。こうした不便を解消するために、国際自動車株式会社が提供しているスマートフォンアプリが「フルクル」です。利用者は、フルクルをインストールしたスマートフォンを“振る”ことで「タクシーに乗りたい」という意思表示を行い、それを把握した周囲のタクシーが利用者のいる位置へ向かいます。
類似サービスとして、乗車場所をスマートフォン上の地図で指定するとタクシーが迎えに来るという配車アプリがあります。こうしたアプリの場合、確実に配車される一方で迎車料金が発生します。しかしフルクルは、乗車を確約するものではない一方、迎車料金を支払う必要がありません。このように利用者とタクシーの「ゆるいマッチング」を実現したのがフルクルです。
フルクルを使ってタクシーを呼んでいるところ。
澤井さんはフルクル開発の背景を次のように述べています。「タクシーに乗っていただくには、電話やウェブサイト、スマートフォンの配車アプリで呼ぶ方法と、走っているタクシーに乗る『流し』の 2 つがメインになります。実際にタクシードライバーの仕事を分析したところ、1 日の仕事のうち 9 割が流しで、電話などで予約されたお客様に乗っていただくのは 1 割程度でした。しかも流しの時間の半分はお客様を探しているということも明らかになりました。」さらに「フルクルは予約ではなく、お客様とドライバーをゆるくマッチングし、全体の 9 割を占める流しの仕事のサポートがねらいです。これが従来の配車アプリとの大きな違いです」と強調します。
同じく森田さんは「現在、タクシーに関連するアプリはいくつもありますが、それらとフルクルは一切競合していません。単に手を上げる、あるいは電話やアプリで予約をするといった、今までとは異なる仕組みでお客様とタクシーをつなげるサービスです。つまり空白地帯だったところにフルクルがあるわけです」と話します。
サービス開発の発端は、澤井さんが「スマートフォンを振ったらタクシーがワッと集まってきたら面白いんじゃないか」と考えたことでした。その話が同社の役員会に伝わり、今すぐに開発せよ!という判断が下って、このフルクル・プロジェクトがスタートしました。
フルクルのビジネス上のもう 1 つの目的は、コールセンターの業務負荷の軽減と森田氏は述べます。
「タクシー業界では、コールセンターに電話がつながりづらいという課題を長年抱えています。一度に受けられる呼び出しの数には限りがあります。そこで始まったのが Web サイトでの予約で、これなら電話をかけずにタクシーを予約できるため、コールセンターが話し中でタクシーを予約できないという状況を回避できます。
フルクルの場合は、そもそもコールセンターのシステムを基本的に使いません。お客様からのリクエストがシステムを通して直接タクシードライバーに届くため、それによってコールセンター業務の負担を軽減できて、なおかつお客様の利便性にもつながる。それが私たちにとってのフルクルの最大のメリットでした。」
フルクルを支える Cloud Spanner の圧倒的なパフォーマンス
フルクルでは、バックエンドシステムとして「Google App Engine(GAE)」を採用しました。開発メンバーとして参画した伊藤勇斗さん(吉積情報株式会社 開発事業部)は、その理由について次のように説明します。
伊藤勇斗さん(吉積情報株式会社 開発事業部)
「フルクルは一般ユーザー向けのアプリであり、どの程度のユーザーがどのタイミングで利用するのかを予測するのは容易ではありません。それに対して GAE であればオートスケーリング機能があり、ユーザー数の変動に応じて自動的にスケールアウトすることができます。また、利用料も実際に利用した分しか発生しないため、コスト面でもメリットがあります。」
また PaaS である GAE であれば、インフラ周りのメンテナンスから解放されるので、保守運用コストも大幅に削減することが可能です。これによってさらにコストメリットを高められること、そして Google のサービスカバレッジの広さにも伊藤さんは言及しました。
「今回、タクシーの位置情報とフルクルを使うお客様の位置情報を地図上にプロットする必要があり、Google Maps APIs を使って実現しています。Google の幅広いサービスを利用すれば、他社のサービスを使わずに一元的に開発できることもメリットでした。」
フルクルのシステムは、タクシーの位置情報を 10 秒ごとに取得してデータベースに登録、スマートフォンを振ったユーザーがいれば、その位置情報を使ってタクシーをマッチングしてタクシードライバーに通知するという流れになっています。そこで、このシステムの開発のポイントとなったのはデータベースでした。
「今回のシステムでは、タクシーから頻繁にデータが送信されるので、分散処理に強い『Google Cloud Datastore』を使うことを想定していました。ただ、今回のフルクルシステムで使うクエリーは複雑で、Google Cloud Datastore では 1 回の処理で必要なデータを取得できないことが明らかになりました。そのため、おおざっぱにデータを取得した後、システム側でデータを絞り込む処理が必要となり、パフォーマンスへの影響が懸念されたのです。」
この課題の解決策となったのは、「Cloud Spanner」です。
「Cloud Spanner の本サービスが始まり、東京 GCP リージョンでも使えるようになったと聞いてさっそく調べたところ、パフォーマンスに優れ、低レイテンシーという特長があることがわかりました。さらに将来的に規模が大きくなっても水平分散できるということで、すぐに検証を始めました。そこで問題ないことが確認できたので、採用を決めました。
結果的にパフォーマンス面でも優れたものにできたと考えています。また複雑なクエリーにも対応していて、必要なデータを 1 回で取得できるため、アプリケーション側の負荷も抑えられました。」
国際自動車ではすでにクラウドの利用実績があり、フルクルでの GCP の採用についても特に反対はなかったと澤井さんは語ります。
「フルクルを提供する前は、いくつかのクラウドサービスを利用していましたが、そのときは懐疑的な意見もありました。ただ IT 課の人員はそれほど多くない上、すでに相当数のサーバーを管理していたため、オンプレミスや一般的なレンタルサーバーでは管理が難しい状況だったのです。しかしクラウドであれば、その部分を任せることができる。そこで課の方針としてクラウド活用を決定し、社内を説得していったのです。フルクルは、協力会社のサポートもしっかりしていて、クラウドとしての GCP の採用はすんなり決まりました。」
フルクルの提供開始から 2 か月間でダウンロード数は約 30,000 件に達し、多くのユーザーに使われ始めています。その背景として森田さんは「口コミで評判が広まっています。SNS では本当にポジティブな評価が多く、それがアプリのダウンロードや利用につながっているのではないでしょうか」と言います。
フルクル利用画面。中央の青い丸の部分が利用者の位置
今後も機能強化は続けられる予定で、乗車位置の微調整を行える機能の追加などが検討されているそうです。最後に澤井さんは「『タクシーを呼ぶために、まだ路上で手を上げてるの? スマートフォンを振ればいいじゃん』と言われるようにしたい。いずれ、『フルクルしてタクシーを呼ぼうよ』というのが日常的に聞けるようになると最高ですね」と笑顔で目標を語ってくれました。
国際自動車株式会社の導入事例
PDF
はこちらをご覧ください。
GCP のその他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
日本生命保険相互会社の Google Cloud 導入事例 : 本部主導の出店戦略を、営業拠点自らが考えられるように進化
2017年7月3日月曜日
日本最大級の生命保険会社である日本生命保険相互会社(以下、日本生命)は、2017 年 5 月、
Google Maps APIs
および
Google App Engine
を活用した出店戦略システムを国内 99 支社、1,500 以上の営業拠点から利用できる環境を整えました。従来、本社主導で判断していた出店戦略を、現地の支社営業拠点が主体的に考えられるように進化。今後、より有効な出店戦略に繋げていく構えです。
日本生命保険相互会社 業務部 副主任 柏木綾人さん
日本生命保険相互会社 個人保険システム部 課長補佐 齊藤悠介さん
■ 利用しているサービス
Google Maps APIs
,
Google App Engine
■
日本生命保険相互会社
1889 年創業の生命保険会社。保有契約高および保険料収入で日本最大規模を誇る。連結で 70 兆円以上の総資産を有する国内最大規模の民間機関投資家でもある。不動産賃貸業(貸しビル事業)においても所有床面積で国内 3 位の規模。2017 年 5 月現在、支社など 108 か所、営業部 1,537 か所、海外事務所 4 か所、従業員数 70,519 名。
集客や採用において極めて重要な営業拠点の立地
日本生命の営業拠点には、来客スペースのあるタイプと、営業職員のオフィスだけのタイプがあります。営業拠点の立地は、集客のしやすさや営業職員の採用において重要な要素です。
「お客様にお越しいただく拠点は、駅前などの人が集まりやすい場所が良く、一方、営業職員の採用においては、住宅地から車や自転車で通いやすいロードサイドが良いといったように要件が異なります。適切な営業拠点を設けることは当社にとって最重要課題ですので、たとえば、該当エリアに競合他社の拠点がある場合、集客や職員採用の両面で優位になるための拠点を構える必要があります。」と当該業務を司る業務部副主任の柏木綾人さんは言います。従来、こうした新規出店や拠点の移転は、 年に 数回、現地の要請に基づき本社が現地情報を収集し、判断していました。その判断材料には、人口動態や世帯収入などの統計情報をはじめ、顧客情報や営業職員状況、実績などの社内情報があります。
「それらに加えて、実際に我々が現地に赴いて周辺状況を確認することもあります」と柏木さん。しかし、日本全国に 1,500 以上の営業拠点があり、地域特性も異なります。さらに、新規出店や移転に伴い、近隣の営業拠点と顧客をどのように分担すればより効率的かといったテリトリー戦略も必要です。これらの複雑な要素を踏まえ、本社が的確に判断することには限界があり、手間やスピードにおいても問題がありました。
「以前より、営業拠点からエリア内の競合情報などの照会が本社に寄せられていました。そこで、システム化を検討することになり、社内システムの開発や運用を担う個人保険システム部に話を持ち掛けてみたのです」(柏木さん)
2016 年の 1 月頃、業務部から相談を受けた個人保険システム部はさっそく検討を開始。
「出店場所やテリトリーを決めることが目的なので地図情報システムは欠かせません。そこで、地図といえば Google Maps だろうとすぐに方向性は固まりました」と個人保険システム部課長補佐の齊藤悠介さんは言います。また、新システムは全国の支社に導入することを目指していたので、ユーザーの使いやすさも重視しました。その結果、自ずと Google Maps の採用に至ったわけです。そこで、システムの開発を進めるため、齊藤さんらは同年 4 月頃に株式会社トップゲートに相談をもちかけました。
要望が随時カタチとして確認できる”アジャイル開発”に驚き
「トップゲートさんの開発プロセスは、我々にとって驚きの連続でした」と齊藤さんは当時を振り返ります。それまで、個人保険システム部が開発を手掛けてきたシステムは、用途や目的が明確で機能要件も明らかな、ぶれのないものが多く、これを”ウォーターフォール型”のスタイルで開発していましたが、トップゲートは今回のシステム開発を”アジャイル型”で臨んだからです。
「最初にきっちりと要件定義を行い、まとめ上げたドキュメントにしたがって開発するというスタイルをずっと貫いてきたわけですが、今回の出店戦略システムは、そもそも仕様や要件がはっきり決まっていたわけではありませんでした」(齊藤さん)
「やりたいことのイメージは明確にありましたが、個人保険システム部含め
Google Maps APIs
の全機能を把握しておらず、すぐに要件を明確に決め切ることはできなかったのです。かつ、従来のシステムと違い、戦略を練るためのツールをどうつくればいいか、手探りの面もありました」(柏木さん)
トップゲートは大まかな要件を確認すると、Google App Engine と Google Maps APIs を活用し、人口動態や世帯収入などの統計情報や社内情報など大量のデータを地図上に重ねて表示することのできるシステムを提案しました。
「プロトタイプを見て、非常に驚きました。それまではほぼウォーターフォール型の開発しか経験がなかったので、こういうやり方もあるのか、との思いです。我々の要望が徐々に具体的な形となって見ることができるので、非常にわかりやすく、ぼやけていた要件が明確になっていきました」と柏木さんは言います。
「出来上がったプロトタイプを見て、新たな要望を盛り込んでもらうといったやり取りを何度か重ねました。トップゲートさんには申し訳なかったのですが、我々がアジャイル型の開発方式を勉強することにお付き合いいただいた形ですね」と齊藤さんは補足します。
Google Maps と GCP が高度な戦略立案業務を支える
5 か月後の同年 9 月には出店戦略システムの最初のバージョンが完成。まずは業務部で試験的に利用し、支社へ展開する際のマニュアルの作成など、準備を進めてきました。地図上にさまざまなデータを重ね合わせて表示するだけでなく、近隣拠点の抽出や、拠点間の移動距離や時間の計算、ストリートビューによって拠点候補の周辺状況を確認することも可能です。その他にもさまざまな機能が盛り込まれ、各拠点がそれぞれの状況やニーズに応じて自由に使いこなせるようになっています。
「上司も、このシステムをさっそく使い始めて『これは面白い。画期的だ』と夢中になっています(笑)。開発メンバーも同様に感じたのですが、たとえば地図の上に地域の人口動態などの統計データを重ね合わせてみると、『こっちに出店したほうがいいのではないか』といった発見があるのです。以前は、支社から要請を受け、バラバラにある情報を突き合わせて確認するという流れでしたが、このシステムでは画面上であらゆるデータを統合的に俯瞰し、本社サイドから営業拠点に提案するといったこともできるようになりました」と柏木さんはシステムの導入効果を語ります。このシステム導入を機に、業務部や営業拠点がより戦略的に店舗立地や営業方針などのエリア運営策を考えられるようになったといいます。
「従来は 1 人で考えていた課題を、2 人以上で考えられるようになったということです。また、一拠点の事例をナレッジとして全拠点で共有できるようになったことも大きいですね」(柏木さん)
2017 年 5 月、99 の全支社への展開も始まりました。支社ごとにいる若手の IT リーダーが中心となってシステムの活用促進を図る体制も整っています。日本生命の出店戦略やエリア戦略が今後どのように進化していくか、注目を集めることでしょう。
日本生命保険相互会社の導入事例 PDF は
こちら
をご覧ください。
その他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
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