Google Cloud Platform Japan 公式ブログ: デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の導入事例：大規模 DMP を Google Cloud Platform の最新技術で再構築

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の導入事例：大規模 DMP を Google Cloud Platform の最新技術で再構築

2016年8月18日木曜日

インターネットの普及初期、1996年にインターネットメディアレップとしてスタートし、今年、20 周年を迎えた業界の雄、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社（以下、DAC）。そんな同社が、この春、同社の基幹サービスの1つである「AudienceOne®」に Google Cloud Platform を採用したと聞き、その背景や効果などをお伺いしてきました。

■写真左からデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社

テクノロジーサービス本部インフラ開発部春名光一さん

プロダクト開発本部技術開発部柳浦俊さん

プロダクト開発本部技術開発部濱洋乃さん

プロダクト開発本部技術開発部長河原亮介さん

■ 利用中の Google Cloud Platformサービス Google Container Engine、Google Cloud Pub/Sub など DACの「AudienceOne®」は、月間 4.5 億ユニークブラウザの cookie データを保有する、国内最大規模のデータマネジメントプラットフォーム（DMP）。広告出稿時に取得できるデータ（ビッグデータ）を管理・分析し、さまざまな用途に活用できるようにしています。また、強力な DSP や SSP を保有する株式会社プラットフォーム・ワンら、DAC グループ各社との連携により、広告配信までの一連の流れをスムーズに行なえることも大きな強みのひとつと評価されてきました。しかし、そこでネックとなっていたのが、AudienceOne® のバックエンドに海外パートナーのプラットフォームを利用していたこと。2013 年 4 月に AudienceOne® が提供開始された当時は合理的な判断と言えたのですが、開発チームの中には「いつかは自社のプラットフォームに」という気持ちがあったそうです。

そんな中、昨年春に本格的な移行計画が始動。DAC には他の大手プラットフォームに熟練したエンジニアが多かったのですが、そこに囚われず多くの選択肢を検討していく中で、Google Cloud Platform に白羽の矢が立てられました。「Google Cloud Platform を試してみて、まず驚かされたのがインスタンスの立ち上がる速さ。また、ネットワークも帯域がしっかり確保されていてとても安定しています。しかもそれでいて価格は極めてリーズナブル。慣れ親しんだ大手プラットフォームにするという選択肢もあったのですが、総合的な判断で今回は Google さんでやってみようということになりました」（プロダクト開発本部・柳浦俊さん）「ほか、企業として 1 つのプラットフォームにロックインされるのを避けたいという気持ちもありました。マルチクラウドでやっていくのが健全だろう、と」（テクノロジーサービス本部・春名光一さん）

「と言いつつ、実は単純に『一度は Google を使ってみたい』と思っていたのが理由だったりするんですけどね（笑）」（プロダクト開発本部技術開発部長・河原亮介さん）ただし、その移行への道のりは必ずしも平坦なものではなかったそう。「最初は、Kubernetes を使ってシステムを構築しようとしたのですが、当時はまだ Google Container Engine（GKE）がベータリリース前、かつ Kubernetes も 1.0 リリース前で機能が足りず、Kubernetes と Google プロダクトを上手に連携させることができませんでした。特にロードバランサーと Kubernetes のサービスオブジェクトの連携がどうにも上手く行かず……。結局、Kubernetes を諦めて fleet on CoreOS で仕切り直すことになってしまいました。ところが、こちらもプロダクションまで持っていったところで大問題が発生してしまいまして…（苦笑）」（柳浦さん）既に現場に投入してしまったところでの問題発生で、大慌てとなった開発チームでしたが、柳浦さんはそこで改めて Kubernetes に挑戦することを提案。当時 GA リリースされた直後だった GKE を利用する事で、何と約 1 日で移植作業を完了できたのだそう。「遠回りしてしまいましたが、結局は Kubernetes に落ち着きました。いや、GKE が出てきてくれて本当に良かったです（笑）」（柳浦さん）それが今年の 1 月のできごと。その後は現在まで大きな問題も発生せず安定して動作しているそうです。「海外パートナーのプラットフォームを利用していたときは、先方が完全にブラックボックスだったので、トラブルが起きても詳細の把握が難しく、何より解決に時間がかかっていました。しかし、Google 移行後はこのあたりが全てクリアに。また、これまではログの取得に約 6 時間程度のディレイがあったのですが、今ではそれがほぼリアルタイムになっています。具体的な計画はまだないのですが、これを活かして何か新しいことができるのではないかと期待しています」（河原さん）

「安定性という意味でも Google に移行したメリットは大きかったですね。具体的にはサービスを 2 つの Kubernetes クラスタに大量のデータを振り分けるかたちで運用しているのですが、こういうことができるのも Google の優秀なロードバランサーがあってこそです。あと、個人的に大のお気に入りなのが、Google Cloud Pub/Sub。あの無限にスケールするところは本当に素晴らしい。特に Google App Engine とくっつけた時に PUSH が使えるというのはとんでもない事だと思っています」（柳浦さん）なお、Kubernetes にせよ、GKE にせよ、まだ公開されてから日の浅いプロダクト。これらを活用するにあたって、情報の不足はなかったのでしょうか？Googleのサポート体制についても聞いてみました。「正直なところ、GKE についてはまだ少しドキュメントが不足しているように感じました。ただ、Stackoverflow などで聞けばすぐに返事が返ってくるのでそれほど大きな不満は感じていません。Kubernetes に至っては、デベロッパーの 1 人である Robert Bailey さんから直接連絡をもらえることに感動。時差があるはずなのに、いつ連絡してもすぐに返事があって、いつ休んでいるんだろうと思っていたり（笑）」（柳浦さん）

「より深いことを知りたいとリクエストすると、そのエキスパートに直接話を聞く機会を作ってくれるのがうれしいですよね。先日も、Kubernetes と GKE の今後についてを聞きたいと連絡したら、Google デベロッパーアドボケイトの Ian Lewis さんがお越しくださって。いろいろな情報を提供してくださり、こちらが抱えている課題にマイルストーンをつけることができました。実際に Kubernetes でプロダクトを作っている人の観点から貴重なアドバイスをたくさんいただいています」（春名さん） Kubernetes や GKE など、Google の新サービス、プロダクトを積極的に活用してくださっている DAC の開発チームの皆さん。AudienceOne® の移行作業がひと段落ついた現在、新たな Google サービスの活用についても検討してくださっているそうです。「個人的に今、一番注目しているのが Google Cloud Functions。現時点ではまだアルファリリースなのですが、すでに申し込み済み。1日も早く触ってみたいですね」（春名さん）「イベント駆動で何かの処理を動かすと言うことをサーバーレスできるというのは、インフラ全体のオートメーション化のもっとも理想的な形のひとつ。現時点で、やりたいことがたくさんあるので楽しみです」（柳浦さん）「あとはやはり Google BigQuery ですね。扱っているデータの規模が大きすぎるため、全てを置き換えるのはコスト面で現実的ではないのですが、BigQuery の高性能・柔軟性はとても魅力的。どこかで上手く使えないかを、手元でプロトタイプを作るなどして試しています。何にせよ、弊社の Google 活用はまだまだこれから。今後はさらにいろいろなプロダクトを駆使し、サービスの品質を向上させていく予定です」（河原さん）

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