Google Cloud Platform Japan 公式ブログ: 株式会社ブロードリーフの導入事例 - Google BigQuery で 100 万規模のデータを統合、最短数秒で結果を返すシステムを構築。

株式会社ブロードリーフの導入事例 - Google BigQuery で 100 万規模のデータを統合、最短数秒で結果を返すシステムを構築。

2015年8月24日月曜日

およそ 10 年に渡って自動車のアフターマーケットの業務効率化を推進してきた株式会社ブロードリーフが、新たな時代の取り組みとして手がけるのがデータベースのクラウド化。部品商と整備業者、そしてエンドユーザーをつなげる新たな仕組みを Google Cloud Platform を使って生み出しました。

株式会社ブロードリーフ ■ 写真左から開発本部開発部部長樋口直亨さん開発本部開発部マネージャー鈴木基之さん ■ 利用中の Google Cloud Platform サービス Google Compute Engine, Google Cloud Storage, Google BigQuery 自動車に乗っている人であれば、誰もが定期的に利用する自動車整備工場。車検や修理など、快適かつ安全にカーライフを過ごしていくためにはなくてはならない存在です。株式会社ブロードリーフはそんな自動車のアフターマーケットにおける IT ソリューションを提供する企業（2005 年創業）。自動車の販売業、整備業から部品商などまでを包括的にカバーする業務アプリケーションやサービスを開発・販売してきました。

これまでの自動車業界は、一定の IT 化が進んだとはいえ、まだまだ古い体制が根強く、お世辞にも先進的とは言えない状況が続いています。例えば車検の際、必要となる部品の在庫や納期について、カーオーナーをお待たせたした状態で都度確認するといった業務が当たり前のように行なわれているのです。ブロードリーフはそれらを改善すべく、整備事業者様（フロントマン）と部品商様（バックヤード）をネットワークで結ぶサービスを提供しているのですが、そこにもまだ課題があったと、同社開発本部開発部部長の樋口さんは言います。「電話で確認するよりははるかに速く、効率的だったのですが検索処理を部品商様のサーバーで行なう関係上、短いとは言えない時間がかかってしまっていました。たとえそれが 10 秒だとしても、お客様を目の前にした 10 秒は数倍の長さに感じられますからね。業界のためにも、お客様のためにも、新しい仕組みが必要だと考えました」（樋口さん）そこでブロードリーフが取り組み始めたのが、それらデータベースのクラウド化。Google Cloud Platform を活用し、部品の在庫情報などを高速かつ一元的に管理できることを目指しました。こうすることで客前などでタブレットを使った検索・提案が可能に。ただし、この仕組みを実現するためには、部品商各社から部品の在庫・価格情報などのデータを収集する作業、そしてそれを 1 つのデータベースとして統合・格納する作業が必要となります。

「いろいろなビッグデータ解析サービスを検討しましたが、Google BigQuery が抜きんでて簡単でした。何よりありがたかったのが、慣れ親しんだ SQL に近い使い勝手で利用できること。当初は開発期間を 3 か月程度見込んでいたのですが、これが何とわずか 1 週間で済んでしまったんですよ」（鈴木さん）「IT というものに対する考え方ががらりと変わる瞬間でした（笑）」（樋口さん）もちろん BigQuery を使うことで、検索にかかる時間も劇的に短縮。「100 万件の価格データと 70 万件の部品データを統合して、そこから必要な情報を引き出すなど、普通にやっていたら数時間かかる処理が BigQuery なら数秒～数分で終わってしまいます」（鈴木さん）また、複数の部品商のデータベースを統合することで、これまでは実現できなかった、複数事業者間での検索も可能に。より安く、より早く納入可能なパーツを1度の問い合わせで確認できるなど、カーオーナーにとってもメリットの大きな取り組みとなりました。ちなみに本サービスは Google Cloud Platform を利用した、株式会社グルーヴノーツのプラットフォーム「MAGELLAN（マゼラン）」を使って構築。そのことも大きな効率化に繋がっているそうです(株式会社グルーヴノーツのインタビューはこちら: 前編 | 後編)。

「各部品商様の情報を統合する際、当初は一旦、Google Cloud Storage にアップしてから BigQuery に流し込むという方法を採っていたのですが、小さなファイルが大量にできてしまい、効率が低下してしまっていました。これについて悩んでいたところ、グルーヴノーツさんにストリーミングインサートというやり方を提案していただいて、一気に効率アップ。実はこういう使い方は BigQuery 本来の使い方ではないのですが、グルーヴノーツさんも Google さんも、絶対にそういうことを言わないんです。むしろサービスの制限を外す検討をしてくださるなど、実に親身になってくださいました。やり取りもスピーディで本当に助けられましたね」（鈴木さん）「自分たちのやろうとしていることに関心をもってくれるのがうれしかった」と言う樋口さん。今回の経験を経て、今後、さらにクラウドを積極的に活用していこうと決心されたそうです。ちなみに今、特に気になっているのが「ディープラーニング」。これを上手に活用していくことで次世代のサービスを生み出せるのではないかと考えているのだとか。

「いままでの技術、やり方だとできなかったようなことを、Google Cloud Platform を使って可能にしていくというのはエンジニアとしても興味深いチャレンジ。コンソールを眺めていると日々新しいサービスが増えていくのが面白いですね。今気になっている新サービスが Google Container Engine。上手に使うとサービスをフレキシブルな構造にできそうですよね。今やっている作業が落ち着いたら少し触ってみようと思っています」（鈴木さん）導入事例はこちら