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アスクル株式会社の導入事例:BigQuery から Partner Interconnect まで、各種 GCP プロダクトを駆使して次世代マーケティング プラットフォーム『ASKUL EARTH』を構築

2019年1月28日
Google Cloud Japan Team

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オフィス向け事務用品通販事業者として、業界トップレベルのシェアを誇る「アスクル」が、将来を見据えて取り組んでいる全社的マーケティング プラットフォーム『ASKUL EARTH』。その構築には Google Cloud Platform の存在がなくてはならなかったと言います。ここでは具体的にどのようなプロダクトが用いられ、どのような成果を上げているのか、開発を牽引する同社先端テクノロジー主席研究員 小池さんに話をお伺いしてきました。

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利用している Google Cloud Platform サービス

BigQueryGoogle Cloud StorageGoogle Cloud Machine Learning EngineCloud Auto MLCloud DataflowCloud DatalabGoogle Cloud Interconnect など
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アスクル株式会社

法人向けの事務用品通販サービス(個人向けにも「LOHACO」という名称で EC サービスを展開中)。全国に 9 か所の物流センターを構えることで、都市部では注文当日、翌日の配送を実現している(社名の由来は「明日来る」から)。従業員数は連結子会社含め 3,200 名。EC サイトから物流までの全工程を独自に運用している。

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  • 先端テクノロジー主席研究員 小池 和弘氏

BigQuery や高度なセキュリティ対応など、必要なすべてが GCP にはある

今回、お話をお伺いしたアスクル株式会社の小池さんが所属する「先端テクノロジー」という部署は、AI やロボティクス、IoT といった先進技術を利活用してビジネスを駆動していくチャレンジを行っている部署。昨今話題の物流クライシスなど、同社の事業を取り巻くさまざまな問題・課題を、こうしたテクノロジーで解決することを目的に、約 1 年ほど前に設立されました。そんな「先端テクノロジー」が、今、全力で取り組んでいるのが、『ASKUL EARTH』というプラットフォームの構築です。

「『ASKUL EARTH』とは、アスクルの持つさまざまな業務データを全て集めて、AI で解析することにより、“全体最適化” を実現するための AI × DATA プラットフォーム。アスクルのような、EC サイトから物流まで、全ての工程を自社でカバーしている企業は、個々の部門ごとの “部分最適化” ではなく、全体の最適化が必要になるのですが、そのためにはこれまでとは次元の異なる複雑さの情報を処理せねばなりません。そこで、これを AI 技術などを駆使することで解決しようと考えました。」(小池さん)

『ASKUL EARTH』の基盤に Google Cloud Platform(GCP)が選ばれたのは、BigQuery の存在が大きかったと小池さんは言います。「とにかく大量のデータ(たとえば配送部門だけで 80 TB / 月)を扱うため、その基幹をなすデータ ウェアハウスの品質は何より重視されました。もちろん速度も重要です。その点、BigQuery は安定して速いところが気に入っています。それまで使っていたオンプレミスのデータ ウェアハウスは、空いているときは速いものの、混み始めるととたんに遅くなるなど、時間帯によって速度が異なることが大きなストレスになっていたのです。さらに、個人的には Cloud Datalab という解析ツールの存在が大きかったですね。定評のある Jupyter Notebook をベースにしつつ、BigQuery などの Google プロダクトとの親和性が極めて高く、大幅な生産性の向上を期待できました。GCP の優れている点は、データ収集から分析まで、必要な機能がすべて、マネージドの形で用意されていること。これによって、エンジニアは、分析にだけ注力することができます。また、ほしいと思う機能が次々と提供されてることも大きな美点。エンジニア好みの進化をするプラットフォームであると感じています。」(小池さん)

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また、GCP を導入するにあたっては、セキュリティの面も重要な決定要件となったそうです。

「まず、アカウントの管理が Cloud IAM などで容易に行える点が大きなアドバンテージとなりました。『ASKUL EARTH』は全社員で利用するプラットフォームなので、これを柔軟に、しかも確実に運用できるというのは魅力的でしたね。また、国内にデータセンター(東京リージョン)が存在すること、今後も並行して運用していくことになるオンプレミス上の既存システムとの接続に、Cloud Interconnect を利用できることもセキュアなデータ運用に不可欠でした。」(小池さん)

3 層構造からなる『ASKUL EARTH』の全行程で GCP が活躍

さて、『ASKUL EARTH』の象徴的な特性であり、名称の由来にもなっているのが、EARTH = 地球の自然環境を模したシステム構成になっていること。『ASKUL EARTH』は大きく 3 層のレイヤーに分かれており、最下層の第 1 層は各部門から集まってきたデータを溜めておく大きなデータレイク(「湖」)、第 2 層は集まったデータを使いやすい形に加工・成型する「大地」、そして第 3 層が、湖の水(データ)で潤った大地の上で育まれる「森」のレイヤーとなっているのです。「森」のレイヤーでは、データのビジュアライゼーションやシミュレーションなどを実施。データの見える化や、より大きな視点での業務改善を推し進める分析を行っています。

「第 1 層において工夫したのは、Web ログ、設備ログ、受注、商品、在庫などのデータを全て生の状態で蓄積するというかたちにしたこと。各部門のデータは、当然ながらそれぞれフォーマットが異なっており、そのままでは統合できません。かといって今から仕組みを変えて、フォーマットを揃えてもらうというのは全く現実的ではありません。そこで、そうした正規化については第 2 層に任せ、第 1 層はとにかくデータを集めて溜めるということに専念させています。AI は、まずデータありきですから、BigQuery や Google Cloud Storage のように、大量のデータを低コストに蓄積できるプロダクトの存在はとてもありがたかったです。」(小池さん)

そうして、収集、蓄積されたデータは第 2 層の「大地」レイヤーで、AI 技術を駆使して使いやすい形に正規化。Cloud Datalab、Cloud ML、Auto ML、TensorFlow、Dataflow などを駆使して、生データを構造化・高次元化。需要予測、離反予測、在庫最適化、設備故障予測、レコメンデーションなどのモデリングを行っています。

「最後の第 3 層では、大きく 2 つのことをやっています。1 つは、データ ポータル(旧名称:Data Studio) などを使ったデータの見える化。もう 1 つが、第 2 層で構造化・高次元化されたデータを使ったシミュレーションです。配送計画の最適化モデルや、需要予測モデルなど、あらゆるモデルをこの第 3 層で作っています。そして、それらを全部束ねて “全体最適化” のためのモデルを作成。我々はこれを、高次元の視点で分析するという意味で、メタモデルと呼んでいます。ただし、その道はいまだ半ば。現在は、メタモデルを構築する個々のモデルの開発を行いつつ、全体を構成するメタモデルのアーキテクチャーをデザインしているという段階です。こちらについて具体的な成果が出てくるのはもう少し先のことですね。」(小池さん)

ただし、前者にあたるデータの見える化については、すでにめざましい成果が表れているとのこと。GCP を導入するまでは、データの調達なども含め、1 つのテーマのモデリングに約 3 か月かかりっきりになっていたのが、GCP 導入後には、1 人のデータ サイエンティストが同時に 3~5 つのテーマを取り扱うようになったそうです。

「エンジニア以外のデータの利活用も明確に加速しています。去年の 7 月と今年の 7 月でデータの蓄積量と利用量を比較してみたのですが、蓄積量が 5 倍に増えたのに対し、利用量はなんと 10 倍に。これはエンジニアの利用が活性化しただけでは説明できない数字です。データ収集を容易にし、扱いやすいツールを用意してあげれば、非エンジニアにも、積極的にデータを活用していこうという意識が生まれることが確認できました。アスクルには、新しいことに積極的に取り組んでいくという社風があります。ですので、こうした仕組みを作り、正しく働きかけさえすれば、きちんと利用してくれるのではないかと期待していましたが、まさに狙いどおりでした。」(小池さん)

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