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株式会社フリークアウトの導入事例: フルマネージドな Kubernetes Engine を駆使して、大規模アドプラットフォームをプレミアム メディア向けに提供

2018年9月5日
Google Cloud Japan Team

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今や、オンライン広告配信の世界では当たり前のものとなっている「リアルタイム ビッディング(RTB)」ですが、2011 年 1 月、これを国内で初めて実現したのが、当時創業したばかりのベンチャー企業、株式会社フリークアウトでした。以降、今日に至るまで、国内アドテク業界を技術的に牽引し続けてきた同社が、2017 年 9 月にリリースした新プロダクト『Red for Publishers』で Google Cloud Platform(GCP)を本格採用。その背景を同社 CTO と担当エンジニアに語っていただきました。

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■ 利用している Google Cloud Platform サービス
Kubernetes EngineCloud SQLCloud FunctionsBigQueryGoogle Cloud StorageStackdriverCloud Pub/Sub など

■ 写真左から
ソフトウェア エンジニア 津田 智光氏
執行役員 CTO 西口 次郎氏

株式会社フリークアウト
広告配信事業を中心に国内外に多数のグループ企業を展開する株式会社フリークアウト・ホールディングスの主幹企業。2010 年 10 月の創業以来、モバイル マーケティング プラットフォーム『Red』や、デマンド サイド プラットフォーム(DSP)『FreakOut DSP』など、さまざまな広告プロダクトをもって、日本のアドテクノロジー業界を牽引してきた。従業員数 417 名(連結:2017 年 9 月時点)。

Kubernetes Engine など、Google の先進プロダクトに探究心を刺激された

一歩先を行く発想で、数多くの画期的な広告プロダクトを生み出し続けてきた株式会社フリークアウト。オフィス中央の広々としたスペースにバスケットゴールやドラムセットが設置されているなど、ユニークな社風が印象的なアドテク企業です。

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そんな同社が新たに注目したのは、それぞれのジャンルでトップクラスのアクセス数を誇る「プレミアム メディア」でした。現在の広告市場はこうしたプレミアム メディアや大規模 SNS が、自ら広告配信に乗り出す流れが加速しているのですが、そこにフリークアウトが長年培ってきた技術とノウハウを提供することで、より大きな収益を獲得することが可能になると考えたのです。

「オンライン広告は、まだ若い業界ではあるものの、歴史も積み重なっており、一朝一夕で参入できるようなものではなくなっています。プレミアム メディアの資本力を持ってしても、プラットフォームをゼロから構築するのは難しいのです。我々が 2017 年 9 月にリリースした『Red for Publishers』は、そうした問題を解決するアド プラットフォーム開発プロダクト。お客さまのアド プラットフォーム構築のみならず、広告事業に不可欠な販売、オペレーション、コンサルティングまでを一気通貫で支援することで、メディア収益向上を強力にサポートするものです。すでに多くのプレミアム メディアで採用されており、他社から競合プロダクトが出てきた今日でも “ファースト チョイス” と言われています。そして、2018 年 1 月には、このシステムをより幅広いメディアにお使いいただけるようにした『Poets』というプロダクトもリリースしました。」(西口さん)

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現在では、多くのプロダクトをクラウド プラットフォーム上に構築しているという同社ですが、『Red for Publishers』(および『Poets』)で GCP を採用したのはなぜなのでしょうか。実は、そのきっかけとなったのは「技術者としての探究心」だったそうです。

「これまで使っていたクラウド プラットフォームに大きな不満があったというわけではないのですが、個人的にとにかく Kubernetes Engine を導入してみたいという気持ちが大きくて……(笑)。GCP がどのような先進性を発揮しているのかを、触って確認してみたかったんです。もちろん、それだけではありません。過去にグループ企業の広告プロダクトのログ基盤に BigQuery を使っており、その便利さを体感済みであったことも GCP を推した理由の 1 つです。BigQuery は柔軟性が高く、自動でスケールすることが大きな魅力。我々くらいの規模のビッグデータでも安定して動作することがわかっていたので、GCP が広告プロダクトのアクセスに耐えられるのかという不安もありませんでした。当時すでに東京リージョンが稼働していたというのも大きかったですね。この業界では東京にサーバーがあることが大前提ですから。」(西口さん)

そして、2017 年 4 月には本格的な開発がスタート。フリークアウトとしては初の GCP 本格導入ではあったものの、開発はスムーズに進み、7 月にはほぼ開発が完了してしまいました。「当時はまだ導入事例の少ないことが不安要素としてありましたが、ドキュメントがしっかりしていたため、特に大きなトラブルや苦労はありませんでしたね。」(西口さん)

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新規プロダクトの開発において、GCP は最高の選択肢

現在、『Red for Publishers』は、Kubernetes Engine 上で稼働中。広告を配信するシステム、広告を管理するシステム、そしてバッチジョブを動かすシステムの 3 つのクラスタが構築されています。クラスタを分けたのは、可用性や検証のしやすさを考えたため。

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「1 つのものを後で分けるよりは、最初からそういう構成にしておいた方が、壊しやすいですし、運用しやすいですよね。また、こうしたクラスタの監視には Stackdriver が役立っています。GCP は、 Kubernetes の完成度が高く、フルマネージドで提供されているのが良いところなんですが、そこに Stackdriver が統合されていることが運用のしやすさに繋がっています。新たに何かを用意する必要がないので、開発・運用の手間が大幅に削減されたと感じています。」(西口さん)

「その上で、GCP はアップデートが積極的に行われるので、インフラコストをかけずに機能がどんどん拡充され、使いやすくなっていくのが魅力ですね。例えば
Kubernetes の「CronJob」。リリース当時はまだ使えなかったので、ジョブ スケジューラを自前で用意していたのですが、今では、全面的にこちらにリプレイスしています。また、公式ライブラリも洗練されており、1 つの使い方を学べば他に展開しやすい作りになっているのも気に入っているところ。用意されているコンポーネントの完成度が高いので、パイプを繋いでいくような感じでしっかりとしたものができあがっていくのは、Unix 的で使っていて楽しいです。」(津田さん)

『Red for Publishers』の成功を受け、フリークアウトでは、今後、さらに GCP の活用を拡大していくとのこと。

「実は今、GCP を使った新規プロダクトを開発中。『Red for Publishers』同様、GCP をフル活用したものにしようとしています。GCP の良いところは、とにかく使いやすいこと。Google のノウハウが凝縮された高品質なコンポーネントが揃っていますし、それぞれの設定がデフォルトで最適なものになっている。新規にプロダクトを開発するなら最高のプラットフォームだと思いました。」(西口さん)

「当然のことながら、『Red for Publishers』においても、今後、さらに GCP を活用していく予定です。今、特に使いたいのは Cloud Memorystore ですね。Cloud Dataflow や、Cloud Composer も気になるところ。処理をパイプライン化していくことで、プロダクトをもっと効率的に、面白くしていけたらと考えています。いま色々なところで注目度の高い Cloud Machine Learning Engine についてもすでに検証を始めています。」(津田さん)

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