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株式会社ポケモンの導入事例:Dialogflow の活用で簡単かつ短期間に音声対応アプリを開発。多言語対応でグローバル展開が容易な GCP はポケモンに最適

2018年8月10日
Google Cloud Japan Team

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ポケモンをプロデュースする会社、株式会社ポケモン(ポケモン社)。「スマートスピーカー」という言葉もなかった黎明期に、スマートスピーカーを使った「エンタメを創りたい」という想いから、「ピカチュウトーク」を株式会社カヤック(カヤック)と共同で開発しています。「ピカチュウトーク」の開発に至ったきっかけや背景など、開発に関わった 4 人のキーパーソンに話を伺いました。

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■ 利用している Google Cloud Platform サービス

Google App EngineGoogle Cloud StorageGoogle StackdriverCloud DatastoreCloud Functions

株式会社ポケモン
「ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること。」という企業理念に基づいて、ゲームをはじめ、アニメ、映画、グッズ、アプリケーション、イベント、タイアップ企画など、ポケモンに関するあらゆるサービスをプロデュースし、グローバルに展開しています。

■ 写真左から
株式会社カヤック
 企画部・技術部・人事部 村井 孝至 氏
 技術部・人事部 黄 辰琳 氏
 IoT 制作室・技術部・人事部 君塚 史高 氏

株式会社ポケモン
 マネージャー プロダクトエンジニア プラットフォーム戦略室 小川 慧 氏

「ピカチュウトーク」の開発環境として GCP を採用したポケモン社とカヤック

Google Home / Google Home Mini に、「OK Google, ピカチュウと話したい」と呼びかけると、「ピカ、ピカチュウ~!」とピカチュウが登場。「ピカチュウ、10 まんボルト。」と言えば「ピッカー……チュウウウウウ!」と攻撃してくれる。とにかく、何を聞いても「ピカ」しか答えないが、なぜかピカチュウと一緒の気分が味わえる「ピカチュウトーク」。このサービスを提供しているのがポケモン社です。ポケモン社 マネージャー プロダクトエンジニアの小川 慧さんは、「新たなサービスとして、取り組んでいるのが 『Pokémon GO』 を代表とするアプリの分野。ピカチュウトークも、アプリ分野の 1 つです。開発プロジェクトは、スマートスピーカーが日本に上陸する前の 2017 年 6 月よりスタートしました。」と話します。そして「ピカチュウトーク」の開発プロジェクトをサポートしたのがカヤック。

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カヤックは、ゲームやアプリ開発のほか、本社がある神奈川県 鎌倉市に保育園や食堂を作るなど、地域密着の事業も展開。カヤック 企画部・技術部・人事部の村井 孝至さんは、「面白いことは何でもやる会社で、オートクチュールのものづくりが特長です。今回、小川さんと縁あって、ピカチュウトークの開発に参画しました。」と語ります。

「このプロジェクトは、豊富なアイデア力を持つカヤックさんと組むしかないと考え、何を作るか決まっていない企画の段階から依頼をしました。開発にあたり、1 つだけ “エンタメを創る” という条件がありました。」と小川さん。最大の課題は、スマートスピーカーから発せられる音声で、いかにビジュアルをイメージできるかでした。村井さんは、「鳴き声だけでポケモンの種類が分かり、イメージを膨らませることができるのは、かなりコアなファンです。ただ、ピカチュウの鳴き声であれば、ほとんどのファンが理解できます。これが、ピカチュウトークの誕生した背景でした。」と話しています。開発にあたり両社では、プラットフォームとして、Google Cloud Platform(GCP)を採用することを決定します。

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急なアクセス増加でもサービス停止の心配がない GCP は絶大な安心感


「ピカチュウトーク」は、Google アシスタントが受け取った音声を解析し、Actions on Google で呼び出されるアプリとして開発されています。Dialogflow で記述された会話の内容(ロジック)に基づき、Cloud Functions でイベントにあわせて処理を振り分け、Cloud Datastore に登録されたピカチュウのセリフを組み立てて、Google アシスタントに戻します。このとき音声ストリーミングは、Google Cloud Storage に保管されます。

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ピカチュウトーク システム構成図

Cloud Storage に登録されているピカチュウのセリフは、100 数十種類ですが、話しかけた内容はもちろん、時間や場所、天気などの条件により、すべて違った反応が返ってきます。小川さんは、「話した内容や話者との関係性、言葉がポジティブなのか、ネガティブなのかといった内容を、機械学習で解析し、解析結果に応じてピカチュウのセリフが抽出され、抽出されたピカチュウのセリフを組み合わせて返事が作成されます。理論上、無限の組み合わせのトークが可能です。」と話します。

GCP を採用した理由を、カヤック技術部・人事部 の黄 辰琳さんは、次のように話します。「Google Cloud Next '17 で、API. AI(現 Dialogflow)のデモを見て、効率的な開発環境からアナリティクス的な機能まで、必要なサービスがすべて統合されている GCP はすごいなと思っていました。ピカチュウトークの開発にあたり、いろいろなプロダクトを調べてみましたが、Google Home 用のアプリなので、GCP で統合した方が便利だと思い採用を決めました。Actions on Google のログを GCP で統合すれば、Google Stackdriver で、簡単に管理できるのも採用理由の 1 つでした。」

「Cloud Datastore は、Google App Engine(GAE)とセットで使われることが多いのですが、今回、Cloud Functions と一緒に使えるかを検証しました。その結果、スピードもかなり速く、非常にうまくいきました。GCP を使うのは初めてだったので、開発中にはまった時期もありましたが、Google のサポートに問い合わせると、適切に対応してもらえたので、短期間で解決できました。」(黄さん)。

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また、他社プラットフォームの開発を担当した、カヤック IoT 制作室・技術部・人事部の君塚 史高さんは、「スマートスピーカーの黎明期だったので、日本語に対応していなかったとか、仕様がどんどん変更されるとか、開発中はいろいろありましたが、個人的には有意義な開発でした。ローンチタイトルの開発とは、まさにこういうことなのだという、めったに経験できない、非常によいプロジェクトだったと思っています。」と話します。

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「ピカチュウトーク」は、エンジニア 5 名を含む、延べ十数名のスタッフが、3~4 か月で開発しています。「システム開発以外にも、台本作りや音声収録など、作業は山積みでした。台本作りは、ポケモンの主題歌などを作詞している戸田 昭吾さんにも協力してもらいました。エンジニアではない戸田さんとエンジニアをつなぐ仕組みとして、Google スプレッドシートで、音声とロジックの対応表を作ったのは、開発期間の短縮に非常に有効でした。」と小川さん。

GCP の導入効果を村井さんは、次のように語ります。「GCP を採用したことで、Cloud Functions も、Datastore も、自動的にスケールされるので非常に便利です。急に大量のアクセスがあった場合、サービスが止まってしまうのは最悪です。その心配がないのは絶大な安心感でした。今回、バックエンド エンジニアがいなかったので、フロント エンジニアでも、簡単にバックエンドの管理ができる GCP の威力を思い知りました。」

今後の展開について小川さんは、「ポケモンは、サービスをグローバルに展開しているので、Google のサポートに、グローバル対応のプロビジョニングを支援してもらえたのは非常に助かりました。GCP は、とにかくとっかかりやすく、スピードが速いことに驚きの連続。グローバル対応が非常に楽だったのも GCP ならではです。今後も役立つ機能やサービスがあれば、GCP を積極的に活用していきたいと思っています。」と話しています。

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