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Google Cloud

マネーフォワードの Fintech サービスを GCP が強力にサポート。BigQuery と GCS でログ解析の効率化とコスト削減を実現。

2018年6月7日
Google Cloud Japan Team

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テクノロジーを追求し、それをサービスとして社会へ提供していくことによるイノベーションを目指す株式会社マネーフォワード。ユーザーの人生を飛躍的に豊かにし、より良い社会創りに貢献することを目的とした各種サービスを展開しています。同社の主力事業である MFクラウドシリーズを管理するコンテンツ配信ネットワーク(CDN)の導入を担当した 2 人のエンジニアに、サービスインフラに関する取り組みについてお話を聞いてきました。

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■ 写真左から
エンジニア 村上 勝俊氏
CISO 室 サービスインフラグループ 鈴木 陽介氏

■ 利用しているGoogle Cloud Platform サービス
Google Cloud StorageKubernetes EngineGoogle BigQueryGoogle Data Studio

■ 株式会社マネーフォワード
マネーフォワードは、2012 年に設立。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションに基づき、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』 になる。」というビジョンを実現することを目的に 個人のお金の悩みや不安を解消する自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」や、企業のバックオフィス業務の効率化や経営改善に貢献するビジネス向けのクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供しています。

Fintech サービスのフロントを担う Fastly のログ基盤に採用された GCP


株式会社マネーフォワードが提供するサービスは、個人向けの「PFM(Personal Financial Management)サービス」と呼ばれる自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」と法人向けの「MFクラウドシリーズ」の大きく 2 つ。また、企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」や、自動貯金アプリ「しらたま」、“未来のおかね” を学べるお店「mirai talk」の運営など、新たなサービスも次々と展開しています。

PFM サービスは、利用者数が 650 万人を超えるシェアナンバーワン(出所 : 2017 年 3 月 23 日 ~ 2017 年 3 月 27 日 楽天リサーチ調べ)の家計簿アプリです。一方、MFクラウドシリーズは、会計、確定申告、請求書、給与、マイナンバー、経費、ファイナンスで構成される企業向け SaaS 型サービス プラットフォームです。

同社の強みについて、CISO 室 サービスインフラグループの鈴木 陽介さんは、次のように語ります。「前年同期比の売上高は、個人向けの PFM サービスが 49%、企業向けの MFクラウドサービスが 102% の成長をしており、両サービスで市場に存在感を示していることが最大の強みです。今後も Fintech と呼ばれる領域で、利用者に高い価値を提供できるサービスを展開していく計画です。」

テクノロジーこそが世界を大きく変えることを信じ、テクノロジーによるイノベーションを追求し続ける同社では、主力サービスである PFM サービスとMFクラウドシリーズで提供する各種サービスのフロントに CDN を利用しています。CDN として採用されたのが Fastly であり、ログ基盤として Google Cloud Platform(GCP)が連携されています。

BigQuery は大量のログから問題の原因を迅速に究明するための最適な選択肢


同社が CDN を利用する目的は、サービス利用者に高速なレスポンスを提供する事で、合わせてシステム負荷の軽減も狙っています。エンジニアの村上 勝俊さんは、「いまや CDN を導入しない選択肢はなく、Fintech サービスに求められるセキュリティを実現するためのコンフィグレーションの柔軟さ、圧倒的なパージ(キャッシュ済みのオブジェクトの削除)の速さと API ファーストな点を評価して Fastly を採用しました。GCP は、Fastly のログ基盤として利用しています。」と話します。

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Fastly のログ基盤として、GCP が採用された理由を鈴木さんは、次のように語ります。「PFM サービスでは、月間で数十億件のリクエストがあり、大量のデータをフロント部分の CDN で処理しています。この部分で問題が発生した場合、大量のログから迅速に原因を究明するためには、BigQuery が最適な選択肢でした。」

Fastly と GCP の組み合わせは、2017 年 9 月より技術検証をスタートし導入を決定。10 月にデプロイメントツールを開発し、11 月より順次サービスを開始しています。鈴木さんは、「まだ移行の途中ですが、MFクラウドシリーズのフロント部分を Fastly と GCP の組み合わせにした CDN へ移行する計画です。」と話します。

CDN を導入する前は、複数のミドルウェアの組み合わせでコンテンツを管理していましたが、設定変更作業がすべてのサーバーで必要なため、作業負荷が増大していました。村上さんは、「Fastly の設定変更は全世界にあるサーバーを意識することなく、1 か所の設定でグローバルに素早く設定が反映されます。また API を使い設定変更はコード化、また自動化を行っており、運用コストを下げることも実現しました」と話します。

また鈴木さんは、「Fastly を単なる CDN とは考えていません。負荷分散やリバースプロキシの機能を集約したいと思い採用しました。Elastic Load Balancing(ELB) と nginx で構築したリバースプロキシを fastly に移行したことで、運用コストの大幅な削減を実現しています。」と話しています。

GCP の高いパフォーマンスやリアルタイム性、Fastly との相性などを評価


Fastly と GCP の組み合わせでは、Fastly のログを Google Cloud Storage(GCS)に送り、5 分に 1 回、GCS から BigQuery にアップロードされるように Kubernetes Engine(GKE)からリクエストを発行しています。鈴木さんは、「Fastly から直接 BigQuery に送る構成も考えたのですが、GCS の利用でコスト削減効果が期待できます。」と話します。

村上さんは、「Fastly のログは、1 分あたり 20 ファイル程度作成されるのですが、他社のクラウドサービスは、小さいファイルをまとめて検索するのが苦手なため、ログの検索で期待する性能を発揮することができませんでした。その点、BigQuery の検索性能は優秀でした。」と話します。

BigQuery にアップロードされたログは、Google Data Studio で解析されます。鈴木さんは、「Data Studio で可視化して、問題がないかチェックしています。現在、国別 / 地域別のリクエスト数やクライアント別のリクエスト数なども可視化しています。」と話します。

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Data Studio を利用する背景を村上さんは、次のように語ります。「BigQuery をバックエンドにできる BI ツールがあまりないことが理由です。また、KPI を Google スプレッドシートで管理していることから、そのための数字を作るときに、BigQuery と Google スプレッドシートを両方サポートしている Data Studio が最適でした。」

また、2015 年ごろから BigQuery や Firebase を使っていた実績も、GCP を採用した理由の 1 つでした。村上さんは、「Fastly のログ解析以外でも、BigQuery をデータ分析に利用したり、開発環境を GCP 上に構築したりしています。Fastly との相性はもちろん、高いパフォーマンスやリアルタイム性、導入実績など採用しやすい状況でした。」と話します。

GCP を採用した効果について鈴木さんは、次のように語ります。「GCP を利用することで、全体として、導入・運用コストが削減できると感じています。特に PFM サービスは、1 日あたり 4,000 万件程度のログがアップロードされるので、この大量のログを検索したり、解析したりする場合、BigQuery は他社のサービスに比べて高速、かつ、安価に利用できます。」
さらに村上さんは、「G Suite を利用していることから、GCP 全体を 1 つの ID、1 度のログインで管理できるほか、プロジェクトの使い勝手もよいのでとにかく便利です。また、BigQuery へのアクセスも非常に簡単で、利用者がデータソースに簡単にアクセスできます。Fastly との連携サポートがしやすかったことも GCP のメリットでした」と話します。

今後の取り組みについて鈴木さんは、「Fastly に関しては、キャッシュ効率をさらに向上させていきます。また GCP においては、社内での横展開を考えています。既に、グループ会社である MF KESSAI株式会社の企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」は、完全に GCP で構築しており、今年設立したグループ会社マネーフォワードフィナンシャル株式会社が今後展開していく「仮想通貨交換所」のプラットフォームにおいてもフル GCP で構築することを検討しています。

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