Google Kubernetes Engine のクラスタ管理料を廃止
Google Cloud Japan Team
Google はこのたび、マネージド Kubernetes サービスである Google Kubernetes Engine の料金を改定し、クラスタ管理料を廃止しました。
Google は 2014 年に Kubernetes をオープンソース プロジェクトとして立ち上げ、現在も主導的なコントリビューターであり続けています。Google 社内では 10 年以上前からグローバル規模の本番ワークロードをコンテナで実行してきました。Kubernetes と Kubernetes Engine には、ウェブ規模の本番アプリケーションで必要とされる高度なクラスタ管理機能など、Google がこれまで培ってきた経験が盛り込まれています。
クラスタ管理料の廃止により、Kubernetes Engine のクラスタ管理機能は、規模の大小にかかわらず直ちに無料で使用できるようになりました。ただし、今回の料金改定は突然の方針転換というわけではありません。
Kubernetes Engine はサービス提供開始以来、6 ノード未満のクラスタの場合は一貫して無料でマネージド マスターを提供してきました。それ以上のクラスタでも、マネージド マスターについては無料で提供してきましたが、クラスタ管理料として 1 時間あたり 0.15 ドルの定額料金をお客様にお支払いいただいていました。この定額料金を、規模の大小にかかわらず廃止したというわけです。
特に複数のワークロードを実行する場合は大規模クラスタのほうが効率的です。大規模クラスタの構築を躊躇していたお客様は、これからは料金を気にせずに自由にスケーリングできます。
クラスタ内のノード数 | 旧料金 | 新料金(直ちに有効) |
クラスタ管理料 | クラスタ管理料 | |
0~5 ノード | 0 | 0 |
6 ノード以上 | 0.15 ドル / 時間 | 0 |
お客様の中には、管理料の廃止はすばらしいニュースとはいえ、クラスタ管理の中身について詳しく知りたいと思う方がいらっしゃるかもしれません。Kubernetes Engine のすべてのクラスタには、コントロール プレーンとして機能するマスター VM が含まれています。Kubernetes Engine のクラスタ管理機能は次のとおりです。
- マスター VM の自動的なスケーリング、アップグレード、バックアップ、および保護
- Google の Site Reliability Engineering(SRE)によるマスター VM の完全な管理
- クラスタ全体の自動的な修復、アップグレード、スケーリングを指示できる高度な機能
- Kubernetes Engine にはサービス レベル契約(SLA)が適用
クラスタ管理料については、Google Compute Engine やその他のクラウドでお客様が自ら Kubernetes クラスタを管理する場合のコストと比較するとわかりやすいでしょう。そうした自己管理クラスタでは、マスターをホスティングする VM と、その状態の監視、ロギング、保存を行うのに必要なリソースに料金がかかるからです。クラスタの規模に応じて Kubernetes Engine に移行すれば、マスターのコストを削減でき、利用料金のかなりの部分を節約できます。
また、得られるのはコストの削減だけではありません。お客様が時間の浪費や障害に悩むことがなくなるように、Google は Kubernetes Engine のクラスタ管理を自動化する自社エンジニアリングに投資してきました。
自己管理クラスタの場合、お客様はクラスタの拡大に合わせてマスターをスケーリングし、etcd をバックアップしなければなりません。セキュリティ パッチに目を光らせ、適用する必要もあります。Kubernetes の新機能を使用できるようにするには、自分でマスターとクラスタをアップグレードすることも求められます。さらには、クラスタの修復やスケーリングは手作業になります。
一方、Kubernetes Engine を導入すれば、こうした複雑な作業はすべて Google が無償で対応するため、お客様は自社のビジネスに集中できます。
(Google Kubernetes Engine によって)弊社の Kubernetes クラスタは自己回復力とスケーラブルなパフォーマンスを手に入れました。Google が完全にサポートし、管理してくれるので、他のクラウド プロバイダーのコンテナ サービスよりも魅力的です。
Arya Asemanfar 氏、Mixpanel のエンジニアリング マネジャー
Google は、Kubernetes における信頼性、コスト効果、使いやすさ、エンタープライズ対応の水準を引き上げることに力を注いでおり、Kubernetes Engine には今後も高度な管理機能を追加していきます。
Kubernetes Engine で次に提供される機能をいち早く試したい方は、ノードの自動プロビジョニングの早期試用プログラムにご参加ください。これは、ワークロードの振る舞いに基づいて自動スケーリング クラスタに適切なタイプのノードをプロビジョニングする新しいクラスタ管理機能です。早期試用プログラムへの参加を希望される方は、こちらのフォームからお申し込みください。
* この投稿は米国時間 11 月 28 日、Group Product Manager である Aparna Sinha によって投稿されたもの(投稿はこちら)の抄訳です。
- By Aparna Sinha, Group Product Manager